1. |
Helix
02:18
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繰り返した日々から、
褪せていった色で、
満ちていたあの朝を探した。
くすんだ思い出も、
小説の項の中。
形而上的な距離を。
あの夏へと繋げる。
プルーストが運ぶ記憶も、
泡のように、空へ、
消えてなくなった。
壊れたカセット、
五月の東雲、
湖畔に浮かんだ、
さざめきの声。
大人になること、
記憶の揺らめき、
あなたの声から、
伝わる体温。
プルーストが運ぶ波音。
壁際並ぶ、
背表紙の中で、
いまさらあなたを思い出した。
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2. |
摩耗
02:33
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3. |
Ozo
03:13
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響く痛みのように、
交差する記憶を閉ざす。
透明な感触で、
溢れた未来を繋ぐ最適解。
僕たちは定義された時間の中で、
正解を探し求めていた。
いつの日か歩みを止める時、
君にしか聴こえない歌を口ずさんで。
零れ落ちてく未来も。
どこを歩いているのかさえ、
いつか分からなくなってしまっても、
君に流れ込む痛みは意味を持ち続ける。
永遠の命題、
喩えの中の正解、
響き渡る崩壊、
まだ消えることのない跡、
施される愛、
辿り着く悲哀、
君の一部を刈り取る音。
記憶を辿っていけば、
誰かにすがって生きていた眼差しを
今も憶えている。
流動する世界で唯一、
不変のものが形作ったから、
君に流れ込む痛みは、
意味を持ち続ける。
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4. |
Digitus
03:53
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遠くなった面影と
消えかかった声が、
脳裏から消えない
夜の目印だ。
誰にも今更に、
助けられやしない。
僕がここで声を上げたとして。
色彩の剥げ落ちた、
あの額縁の片隅に、
一人朽ち果てていく君の
面影をしまい込んで。
言葉の重さを知るたびに、
形を失う幸せ。
大人になれないままの
あの日の君から続く時間が、
落とした影を辿る指のように、
世界をかたどる指のように、
そっと君が差し出す時間に触れた。
無くした日々を追うように。
思い込んでいた。
こんな時間にもいつか、
終わりが来るはずだと。
一人きりで歩いていくことを、
忌み嫌うわけではないと。
部屋の隅で埃被った、
君の声を覚えている。
壊れかけたものを置き去りにして、
形を失う時間を、
いつまでも手の中に握りしめて。
燃える砂の中へ。
冷えた雨の中へ。
景色は今日も変わっていく。
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5. |
天草に於いて
03:43
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6. |
November
04:15
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遠く滲んだ願い事も、
剥がれ落ちたまま。
溶けた声が君を指して、
遠く、朝を呼んだ。
日の届かない場所で、眠る君と。
こぼれ落ちた日々を、
今は誰が生きているのか。
僕は空を見ている。
君が居た季節が留まる場所で。
僕らをとらまえる混乱ですら、
愛せる人間であればよかったのに。
後悔は流れ去る水のように、
一片の余剰をも残すことはない。
祈る声を忘れながら、
移ろう季節が。
伸びた髪を揺らすたびに、
また立ち止まった。
その声と姿へ届かない手に残る、
何の意味もない温もり。
棄てられたら。
誰も触れない綺麗な悲しみを前にして、
この夢が終わること、受け入れて歩いた。
だけど君の声に、どんな慰めも及ばなくて。
歩き出した道は、君が居た季節のままだった。
僕は空を見ている。
滲んだ願い事が消えないように。
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Kirye Tokyo, Japan
Born from the post rock scene in Tokyo, Japan, Kirye focuses on writings songs where technical play highlights melodic lyricism.
日本の東京におけるポストロックシーンで生まれたkiryeは、テクニカルな演奏とメロディックな主旋律が特徴のバンドです。
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